
ソフトバンクの大胆な賭け:ARMホールディングスの買収から売却までの道のり

マサキ
孫正義率いるソフトバンクグループ(SoftBank Group Corp、以下ソフトバンク)は、常に新しい市場への挑戦を恐れず、多くの企業を買収し、その成長を後押ししてきました。その中でも特に注目すべきは、英国の半導体企業ARMホールディングスの買収であり、その動きは後に産業界全体の未来を占うような事件に発展しました。
買収背後のビジョン:孫正義CEOの野望
2016年、ソフトバンクは3.3兆円を投じてARMホールディングスを買収しました。この取引は当時、IT業界を驚かせました。孫正義CEOはこの買収について、「世界一の企業を買収した」「これで人類の未来に関われる」と述べました。その言葉からは、彼の大胆なビジョンと、半導体技術が持つ未来への可能性への確信が伺えます。
しかし、ソフトバンクの戦略は変わりました。その背景には、企業業績の厳しさや投資先の評価額の大幅な減少など、事業環境の変化がありました。
失敗の遠因:NVIDIAへの売却計画
2020年、ソフトバンクはARMを米国の半導体大手NVIDIAへ売却することを決定しました。売却価格は約4.2兆円とされ、これによりソフトバンクはARMへの投資からプラスを出す計画でした。(もしARMの代わりにNVIDIAを保有していたらとんでもないことになってましたね、、)
しかし、この売却計画は独占禁止法に抵触する可能性や、ARMの本国である英国政府の懸念などから頓挫しました。その結果、事実上、売却計画は断念されることとなりました。
ブロックされた理由:NVIDIAとの合併阻止の真相
この売却阻止の原因は、NVIDIAとARMが各々異なる部分の半導体を製造する企業であるため、その合併が独占を生む可能性があったからです。一部の専門家は、この合併が実現した場合、NVIDIAはARMのIPを独占的に使用でき、他の半導体メーカーがその利用から締め出される可能性があると指摘しています。そのため、規制当局がその影響を懸念し、この売却を阻止したのです。
次なるステージ:IPOを見据えて
しかし、この結果を受けてARMは止まることなく、新たなステージへと進む準備を始めました。その一つが、公開市場への上場(IPO)です。これにより、ARMは新たなビジネスモデルの構築や製品の多様化を推進し、その成長を加速させようとしました。
Armは2023年9月14日、Nasdaqへ2度目の上場を果たしました。IPO価格は、1株当たり51ドルに設定されたが、終値は63.59ドルとなり、時価総額650億ドルを記録されました。結果として、2023年最大のIPOとなりました。

揺れ動く市場、確かな技術:未来への挑戦
これらの経緯を振り返ると、半導体産業のダイナミズムと変化の激しさが見て取れます。しかし、それらの変化の中でも、ARMの技術とその未来の可能性は揺るぎないものとして存在し続けています。
このことから、企業は変化する市場環境や技術の進歩を捉え、それに素早く対応することが求められると言えるでしょう。そして、その対応力こそが、ARMのIPOを通じて見ることができるテック業界の面白さとも言えるでしょう。
投稿日:2024-01-27
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