
ゴードンモデルとは?投資家が知るべき株式価値の計算法
ゴードングロースモデルの基本概念
株式投資を行う際、企業の価値をどのように評価するかは非常に重要です。その中で、ゴードングロースモデルは、株式の理論価値を計算するための重要なツールの一つです。このモデルは、企業が将来にわたって一定の割合で成長を続けるという前提に基づいています。具体的には、企業が内部留保を利用して資金を調達し、その利益を再投資に回して利益率(ROE)を維持するという考え方です。
株式価値の計算方法
ゴードングロースモデルでは、株式の価値は将来の配当の現在価値の合計として計算されます。具体的な計算式は以下の通りです:
V = D ÷ (k−g)
ここで、Vは株式の理論価値、Dは一株当たりの配当、kは株主資本コスト、gは利益成長率です。利益成長率gは、内部留保率bとROErの積で求められます(g=b×r)。
成長率と株価の関係
このモデルの興味深い点は、成長率gが株価に与える影響です。ROEが株主資本コストkを上回る場合、つまりr>kであれば、内部留保率を高めることで株価は上昇します。しかし、ROEが株主資本コストに等しいかそれ以下の場合、内部留保率の増加は株価にプラスの影響を与えません。
ケーススタディ:理論株価の計算
実際の企業の例を考えてみましょう。ある企業がROEを10%(0.1)、内部留保率を60%(0.6)で維持し、株主資本コストが8%(0.08)の場合、その理論株価はどうなるでしょうか。この場合、成長率gは6%(0.06)となります。一株当たりの利益(EPS)が10円と仮定すると、理論株価は次のように計算できます:
V = {10 × (1 − 0.6)} ÷ (0.08 − 0.06) = 200円
この計算により、企業の株価が成長機会をどの程度反映しているかを理解することができます。
株価収益率(PER)への応用
ゴードングロースモデルは、株価収益率(PER)を理解するのにも役立ちます。PERは株価をEPSで割った値で、企業の収益性と市場評価を反映します。高いPERは、高い成長率、高いROE、または低い資本コストを意味することが多いです。逆に、低PERは、低い成長率や高いリスクを示唆している可能性があります。
結論:ゴードングロースモデルの実用性と限界
ゴードングロースモデルは、株式の価値評価において非常に有用なツールですが、その適用には注意が必要です。特に、再投資利益率がROEに等しく一定である、または内部留保率が一定であるという前提は、実際のビジネス環境では常に当てはまるわけではありません。また、市場の変動や外部環境の変化も株価に影響を与えるため、複数の角度から企業を分析することが重要です。
このコンテンツを通じて、ゴードングロースモデルの基本的な理解とその応用方法を提供しました。投資家はこのモデルを利用して、株式投資の判断材料として活用することができます。しかし、常に市場の動向や企業の特性を考慮に入れ、総合的な分析を行うことが肝心です。
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