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PER推移からみる市場参加者の投資判断傾向

アルファインド編集部

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低PER企業の株価特徴と投資戦略

低PER企業の株価における特徴として、低PERの主な要因は、企業の業績が投資家にとって成長性があるものとして認識されていない点にあります。このため、低PER企業の時価総額は未来の希望的観測によって付けられたものではなく、現在値での評価となるため、相対的に株価は押し下げられます。

企業成長の最も大きな指標として機能するのはEPSです。基本的に、投資家はEPSの上昇局面では約3年程度の期間で成長トレンドであると認識すると考えられており、それが株価に反映されます。その反面、散発的な売上高、当期純利益の上昇はトレンドとして認識されないため、PERが大きく上向くことはありません。

下落局面における投資判断基準

反対に下げ局面である場合、下落トレンドは2年程度で成長性の欠如として判断される傾向があります。PERの上昇には未来のある程度の成長に対する予測性が必要です。従って、トレンドの安定性が大切な要素となります。成長率の不安定さ、利益率といった収益マシーンの性能にばらつきの存在する企業はPERの押し上げ圧力が弱まります。企業の経営方針についても同様で、継続的な資産増加のない企業は拡大的なビジョンが欠落していると判断され、生産可能領域拡大が見通せないため、株価は上がりにくくなります。

高PER企業の株価特徴と投資戦略

高PER企業群の大きな利点は、その高い成長性への期待があるため、単年の成長率の停滞があっても、投資家が次年度の成長性の復活を待つという点にあります。成長率が上向かない年度は株価が小休止し、次年度に再び成長を記録すると、前年のトレンドにその年を組み込んだ形でPERは成長します。しかし、高PER企業の業績不振が2年以上継続すると評価基準が現在値評価まで格下げされ、比較的大きな値下げになる可能性を孕みます。従って、高PER企業の場合は、どの項目が株価を押し上げているのかを分析する必要があります。これを理解することで、今後の株価の推移をある程度予測することができます。また、PER向上には未来の予測可能性が必要であり、収益マシーンは継続的な安定性を保持した形で稼働することが求められます。

高PER企業の財務健全性と投資の観点

高PERを支える重要な要素として財務の健全性があります。優良な高PER企業の多くは高い自己資本比率を計上するケースが多く、NCAVをプラスで計上する企業も存在します。この財務健全性により、株式に対して安全資産という虚構が形成され、値崩れしにくいという幻想が生まれ、更なる資金の流入を促します。これに成長性という視点が加わることで、株価は累乗的に上昇していきます。

結論:低PERと高PER企業の株価特徴を理解することの重要性

低PER企業と高PER企業の株価には、それぞれ異なる特徴があります。低PER企業は、成長性が低く評価されがちであり、その結果、株価が押し下げられる傾向にあります。一方、高PER企業は、高い成長性への期待に支えられ、株価が安定しやすい特徴を持っています。しかし、成長性の欠如が明らかになると、PERが急激に下落するリスクも存在します。

投資家としては、これらの特徴を理解し、各企業の業績や財務状況、市場の期待などを総合的に考慮して、投資判断を行うことが重要です。低PER企業においては、安定した成長性や財務の健全性を見極めることが求められます。一方で、高PER企業では、将来的な成長潜在力と財務の安定性を重視し、短期的な利益追求だけでなく、長期的な視点での投資を考える必要があります。

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